事業概要


1.MIを駆使した新規材料探索に必要なビッグデータ創出

 図1に示しますように、 XRD(X線回折)プロファイル(XRD profile)を機械学習に用いた材料の研究開発が年々世界的規模で加速されています。例えばマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を用いることにより、電池材料特性と電池特性の相関関係を解析し、XRDデータなどの構造データから、電池特性を予測するモデルを導出するなど、新しい動きもあります。このような背景の下、機械学習に供することを目的としたXRDプロファイルデータの創出・提供に関するご要望を複数の分野(触媒、電池など)の顧客様からいただいております。

図1 XRDプロファイルを用いた機械学習による材料の研究開発例

 弊社は、このようにお客様の研究開発をMIやAIで支えるため、大手自動車会社様の最新の研究スタイルを参考にして、XRDプロファイルデータをビックデータ(X線回折角2θ vs X線強度)として保有する技術を開発済みです。

 この最新の研究スタイルでは、材料のXRDプロファイルデータを説明変数として用い、材料特性データを目的変数として解析することにより、研究者が従来の実験手法では想像できない、特性に優れた新材料を自動的に導き出すことができます。(XRDの測定では、他の材料特性の測定法に比較して、安価に大量の材料データを取得できる特徴もございます。)

 弊社からご提供可能なXRDプロファイルデータは、金属・合金や酸化物・硫化物・窒化物などを含むセラミックスなどの無機化合物が約400,000件、有機化合物が約600,000件です。XRDプロファイルのデータセットの例として、例えば、触媒材料として多用されている白金(Pt)のXRDプロファイルを図2に示します。X線回折角2θとX線強度の関係図としてPDF形式等でご提供いたします。また、回折角2θに対し0.02°(ご要望に応じ0.01°可能)毎に、X線強度データをデジタルデータ化したデータセットをExcel形式やSCV形式でご提供可能です。さらに結晶データの基になる論文情報などを補足データとしてご提示可能です。

 弊社はこのように実際のビックデータを保有する企業であり、データビジネスを志向される企業様との新しいビジネスの形を求め、協業させていただきます。

図2 白金(Pt)のXRDプロファイルデータの例
触媒機能に重要な影響を与える結晶子径(結晶の大きさ)依存を表示した例を示す。
下段には、標準ピークデータを朱記しています。

2.新規材料探索の為のXRDプロファイルデータの
ビッグデータビジネス

 弊社の主要業務の一つとして、ビッグデータ信託*を軸とする新しいデータビジネスを展開しております。(*商標登録済み。英名のビッグデータトラストも商標登録済みです。)

ビックデータ信託の主な業務内容は、
① お客様がお持ちの科学・試験・分析データの整備と売却などの仲介業務
② お客様がお持ちの上記科学データの第三者との共有、第三者への貸与などの仲介業務
③ 有志企業様を仲介して、共有のビッグデータを構築する業務
④ 実験研究による開発をマテリアルズ・インフォマティクス(MI)やAIで支えるソフト支援業務(上記の「MIを駆使した新規材料探索に必要なビッグデータ創出」に詳細を掲載。)
などでございます。

3.“夢の合金”ハイエントロピー合金の材料設計、試作支援、
用途開発支援

 弊社では、“夢の合金”と呼ばれる「ハイエントロピー合金」の材料設計、試作支援、用途開発支援を主要業務の一つとして、ビジネス展開しております。

 ハイエントロピー合金(HEA;High-Entropy Alloy)の定義を、図3に示します。等モル比で元素を合金化した場合、5元素以上を含む場合HEAの定義を満たし、高温強度などを含む特性において、従来にはみられない著しく優れた種々の特性を示すことで知られています。その研究の歴史は浅く、近年になり大学等を中心に基礎研究や社会実装研究開発が加速されています。また金属用3Dプリンターの発展に伴い、大型のHEAを狭義(単相)の意味で作製可能となりつつありますが、多相のHEAでも優れた材料特性を示すことや、中程度のエントロピー合金でもHEAに匹敵する特異で優れた材料を作製可能なことから実用化が進みつつあります。

図3 ハイエントロピー合金HEAの定義

 弊社では、このような社会的・工業的背景と意義に基づき、HEAの材料設計、試作支援、用途開発支援の体制をつくり、ビジネス展開中です。さらに、カーボンニュートラルの実現に向けて必須となる材料の軽量化の重要性に鑑み、軽量HEAや軽量合金の開発支援体制も構築済みです。

弊社の将来ビジョンとして「モビリティの軽量化による未来社会の変革構想」を掲げています(図4)。電気自動車だけでなく、成層圏から宇宙へという壮大な技術開発が進められつつある中で、お客様のビジネスを、軽量HEAを中心とする材料開発の面からご支援いたします。

図4 弊社の将来ビジョン「モビリティの軽量化による未来社会の変革構想」

4.保有特許

1.特許第7126728号
   発明の名称 「燃料電池」
   特許権者  (合)テクノロジーオンデマンド
   発明者     齋藤総一郎、加藤隆彦

5.保有登録商標

1.商標登録証    第6407760号
   商標    「ビッグデータ信託」
   商標権者  (合)Technology On Demand

2.商標登録証    第6485914号
   商標    「Big Data Trust」
   商標権者  (合)Technology On Demand